「っ、なに、それ」
え、と目の前の佐伯先生を見ると、少し頬が赤い気がする。
「え…」
「…何」
「…照れてますか?」
「照れてないから」
「でも赤いー…」
「日焼けじゃない?
俺、焼けると赤くなる体質だから」
そう言った佐伯先生がいつもと違う水中でも使える腕時計を触るから、思わず笑ってしまった。
「…何笑ってんの」
まだ赤い頬のまま、拗ねたように私を睨む。
「佐伯先生、気付いてないですか?」
「え?」
「嘘つく時、腕時計触るの」
クスクス笑いながら聞くと、驚いて自分の左腕を見る。
「…え、全然知らない。
本当に?俺そんなことしてる?」
「してますよ」
「はは、知らなかった。
じゃあ水島さんに嘘つけないね」
ああ、もう、大好きだ。
この笑顔が、好き。
「でも水島さんも嘘ついたよね?」
「…」
「頭痛くないくせに」
楽しそうにニヤッと笑う佐伯先生を睨む。
「佐伯先生が悪いです」
「ちゃんと彼女いるって断ったじゃん」
「それは、そうだけど…」
ふざけて言い合いするのも、彼女だから。
この瞬間がずっと続けば良いのに。



