佐伯先生の優しすぎる嘘





「せ、先生!」





後ろから呼ぶと、驚いたように振り返る佐伯先生と、明らかに敵意むき出しのお姉さんたち。




「なに、その子?」
「生徒じゃない?」




…生徒だけど!
でも、彼女だもん。





「あ、頭が痛くて!」





我ながら無理な言い訳だ。

だって、とっさに呼んだから、理由なんて考えてなかった。

はぁ?って顔をしているお姉さんたちに、俯く。




「すみません、じゃあ俺行きますね」




「え、ちょっ…」




ニコッとお姉さんたちに笑いかけた佐伯先生は、私においで、と言って前を歩き出した。






どんどん歩く佐伯先生は、みんなが遊んでいる砂浜から離れた岩場に向かった。




「佐伯先生、どこまで行くんですか?」




「みんなから見えないところ」





本当にみんなから見えない岩場に来てしまった。





「で、どうしたの?」



「え、と…」



「頭痛いわけじゃないでしょ?」



図星を突かれて、目を逸らす。




「妬いた?」




岩に座って、ニヤリと意地悪に笑う佐伯先生。


座っているせいで少し上目遣いになるのがずるいと思う。






「…妬い、た」





恥ずかしくて真っ赤になりながら下を向いて、聞こえないくらい小さな声で呟いた。