佐伯先生の優しすぎる嘘





「…あのさ」





ずっと何か考えているようだった佐伯先生が、沈黙を破った。





「この間の、ことだけど」


「っ、」




…やだ、聞きたいけど聞きたくない。

ついに来てしまったこの話題に、視線を足元に落とした。



もしかして佐伯先生は忘れてるんじゃないかって思ってたから、覚えててくれたことへの少しの安心感と。


これから言われる言葉に対しての緊張。



苦しいよ、先生。






「…教師と生徒が付き合うのなんて危険しかないし、バレたら大変なことになる。

とくに水島さんは退学とか、人生を棒にふる可能性だってあって、

俺は何があっても水島さんだけは守るけど…でも、守りきれる保証はない」






…ああ、ダメなんだ。


ジン、と目の奥が熱くなって、とっさに立ち上がった。





「っ、大丈夫です!

私、佐伯先生のこと困らせたりしたくないし、諦めろっていわれたら頑張って諦めるから、だからー…」





だから、それ以上聞きたくないー…。



ポロ、と頬を伝った涙にばれないように、佐伯先生に背を向けたまま早口で喋る。