佐伯先生の優しすぎる嘘




「一緒に取りに行きます」




戻ってくるのも面倒だろうし、と思って夕羽たちと別れ、佐伯先生の後ろをついていく。



…生徒。


佐伯先生の言ったその単語だけが頭に残って離れなくて。


佐伯先生に生徒って言われると、すごく苦しくなる。


私はやっぱり、佐伯先生の生徒なんだって何よりも実感させられる。



本当は2人きりになるのだって、あの日のことは忘れてほしいって言われそうで、怖くて。


話を逸らそうとして、先生の部屋って1人部屋なんですか?とか、沖縄って本当に暑いですね、とか、そんなことをずっと話しかけた。






先生たちの部屋が並ぶ廊下の端の部屋。

1人部屋らしい。




ガチャ、とドアを開けて中に入る佐伯先生。

どうして良いか分からずにドアの前に立っていると、


「入れば?」


と当たり前のように言われたので、少し躊躇ったけど中に入った。


ガチャン、と閉まったドアに、ドクンと心臓が跳ねた。



佐伯先生の、部屋。


先生の部屋に2人きりという状況にドキドキしすぎて、何かもう胸が苦しい。