佐伯先生の優しすぎる嘘




それから、いくつかの観光地を回って早めにホテルに着いた。




「わ、綺麗!」

「ここ泊まるの!?」



想像していたよりずっと綺麗なホテルに、興奮しながら部屋に着いた。




「うちのクラスは先にお風呂入れるんだって!行こ、杏奈」


夕羽にそう言われて、お風呂セットを持って一階に降りた。



団体旅行用のホテルなので、一階に大浴場があるらしい。





「はー、気持ち良かった」
「ね!」



みんなと一緒ってだけで、お風呂に入るのも楽しい。



「あ、コーヒー牛乳飲もう」

「私も!」




自販機の前でコーヒー牛乳を飲んでいると、クラスの男の子が向こうから歩いてくるのが見えた。

男子もお風呂が終わったんだろう。





「お、夕羽じゃん!
後で部屋遊びに来いよ、水島さんも連れて」



「嫌だよ、杏奈目当てなのバレバレなんですけど」


「はは、分かった?」




なんて会話を聞きながらコーヒー牛乳を飲みきった。




「ねえ、水島さん俺らと枕投げとかしない?」


「あはは、えーと…」



「あ、水島さん」




なんて答えようか考えていると、後ろから呼ばれた名前。





「佐伯先生!」



「さっきのお茶のお金、返したいんだけど今平気?」


「本当にお金はいらないですよ!」


「いや、生徒に奢ってもらうわけにはいかないでしょ」




財布が部屋にあるから取ってくるね、と言う佐伯先生は、どうしたってお金を払ってくれるらしい。