状況をやっと理解した瞬間、ポロポロと涙が溢れてきた。
「先生っ…好きです…」
ああ、やっと、言えた。
言ったら嫌われると思っていたその言葉を伝えたら、佐伯先生は優しく笑ってくれた。
「せめて俺の前でだけでも、気を遣わないで自分のこと考えてよ」
嬉しくて、本当はずっと誰かにそう言って欲しくて。
甘えていいよって、言って欲しくて。
ぎゅっ、と抱きついた。
「佐伯先生、大好き」
「うん」
「本当に好きです」
「うん、俺も好きだよ」
耳元で囁かれたその言葉は今までで1番ずるくて、優しくて、甘くて。
そして、幸せだった。
文化祭の賑やかな声が、遠くから聞こえる。
時計の秒針は、規則的に時間を刻む。
佐伯先生の腕に包まれたら、彼の鼓動が私のそれと同じくらい早くて。
ふふ、と笑うと、
「なんだよ」
と頭をくしゃっと撫でられた。