もう自分が止められない。


ゆっくり、顔を近づける。





「…今の全部…私の勘違いなら、突き放してください」




加速する鼓動と、急上昇する体温。

唇が触れるまで、あと数センチ。





ふわり、と後頭部に回された手。

優しく引き寄せられて、唇が触れた。


温かくて、優しくて、ドキドキして息が止まりそうで。




「ん…っ」





佐伯先生は角度を変えて、優しく髪を撫でる。


私は佐伯先生みたいな余裕なんてなくて、どうやって息をしていいのか分からなくて。



「、はぁ…っ」




ゆっくりと離れた唇に、潤んだ目で佐伯先生を見上げた。


乱れた呼吸を整える。

熱っぽい佐伯先生の瞳が、眼鏡越しに見えた。






「せん、せ…」





「せっかく我慢してたのに、そんなずるい聞き方しないでよ」






眉を下げて笑う佐伯先生は、優しく私の髪を梳いた。