佐伯先生の優しすぎる嘘




そこは誰もいない静かな空き教室で。


私は佐伯先生を押し倒すような体勢で。

肘をついてバランスをとる佐伯先生は仰向けに、私が上に覆いかぶさるように倒れこんだ。



佐伯先生の顔がこんなにも近くにあって、身体が密着していて。



自分の状況に気づいた瞬間、かぁっと身体の芯から熱くなって、思考がショートした。




驚いている佐伯先生の表情に。

ドキドキしてる心臓の音が聞こえてしまいそうなほど近いこの距離に。

時計の秒針だけがやけに大きく響く、人通りのないこの部屋に。



全てにドキドキして、それから、自分で自分をコントロールできなくなった。






「…水島さん、」




どいて、と言おうとしているのは分かったけれど、眼鏡越しのその綺麗な瞳から目が離せなくて。







「佐伯先生」




緊張でおかしくなりそうだった私の声は、少し掠れた。