佐伯先生の優しすぎる嘘





「水島さん、大丈夫!?」





泣きそうになった顔を膝に埋めたところで、教室のドアが開いた。




「っ…」



何でこんなにずるいことばかりするんですか?


会いたいって、思ったタイミングで来てくれるの?


佐伯先生の顔を見た瞬間、もっと泣きそうになって。




「何かあった?!」



しゃがんでいる私と目線を合わせるように、佐伯先生も私の前にしゃがんだ。


いつになく慌てる佐伯先生の息は乱れていて、走って私を探してくれていたことが分かる。



「先生こそ、どうしたんですか?」



「え…水島さんが元彼に呼び出されて危ないって、聞いたんだけど…」




大丈夫そうかな、と続ける佐伯先生。

そんな言い方したのは絶対に夕羽だろうな、と思ってクスリと笑った。




「でも、何で泣いてー…」





「っ、ちが…」




違うんです、泣いてないです!

そう言って立ち上がろうとすると、慣れない浴衣のせいでぐらりと揺れた足元。




「わ、っ」




体勢を崩して、佐伯先生も巻き込んで倒れてしまった。