「はぁ…」
斗真が出て行った後の静かな教室で、床にしゃがみ込んだ。
帯が少しだけ苦しい。
斗真はちゃんと私のことを好きでいてくれた。
それが分かっただけで、もう十分だ。
「…佐伯先生」
どうしても、会いたい。
まだ怒っていた理由の答えも出せていないし、佐伯先生はまだ私に怒っているかもしれないけど。
佐伯先生は女の子たちに狙われていないだろうか。
今日の浴衣のせいでファンが増えたりしていないだろうか。
佐伯先生が人気者なのは良いことだけど、反面、私だけが魅力を知っていれば良いのに、なんて思う。
あーあ…そんなわけないのに。
私よりも佐伯先生のことをよく知っている人なんてきっとたくさんいるのかもしれない。
話したい。
好きって言いたい。
会いたい。
だけど好きって言うのが1番怖い。
もう今までみたいに笑いかけてくれないかもしれない。
でも1番嫌なのは、この気持ちを恋じゃなくて憧れだって思われることだった。
違うの、違うんだよ、佐伯先生。
憧れじゃなくて、年上の人と恋がしてみたいっていう好奇心でもなくて。
本当に本当に、佐伯蒼っていう人が大好きなだけなんだよ…。



