佐伯先生の優しすぎる嘘





**------------------------------------------**






「杏奈、可愛い!」



ぎゅっと抱き着いてくる夕羽を抱きしめ返す。


「絶対に夕羽の方が可愛い」



文化祭当日。

私たちの和風喫茶の店員の制服は浴衣だ。



私はお祭りの時と同じ浴衣で、髪もほぼ同じ。

メイクだけ前より少し大人っぽくしてみた。



開会式を終え、始まった文化祭。


浴衣が可愛くて格好良いと評判で、私たちが想像していた以上のお客さんが来てくれた。

他校の人から、他の学年の人までたくさん。



中には好きな人がこのクラスにいる人もいるようで、キャーキャー言っている声が聞こえる。


たくさん来てくれるのは嬉しいけど、思ったより忙しい…!



浴衣のせいであまり動けない中、私も頑張って席にお菓子やお茶を運ぶ。




「お待たせしました、抹茶アイスです」




他校の制服を着た男子2人のところに抹茶アイスのお皿を持っていく。





「あ、あの!」


「はい?」




戻ろうとしたところで呼び止められ、驚いて振り返った。

…何か足りなかったかな?

スプーン…は、渡したし…。




「あの、連絡先教えてもらえませんか!」


予想外の言葉に、え、と声が漏れた。



「すごく可愛いなって思ってて、その、彼氏とかいますか?」



「いない…ですけど…」



「じゃあ教えてください!
ひ、一目惚れなんです!」



急に立ち上がって腕を掴まれる。


どうしよう、こんなに真剣に言われると断りにくい…。