佐伯先生の優しすぎる嘘





「ごめん、みんな先帰ってて」


「え、やめなよ杏奈、帰ろうよ!」


「ごめん夕羽、大丈夫」


「…わかった、気を付けてね」



まだ心配そうな夕羽にありがとう、と言って、みんなと別れた。



「相変わらず優しいね、杏奈は。

俺に何かされたらどうするつもりだったわけ?」




意地悪な笑み。

…だけど。



「そういうことはしないでしょ?」



それだけは分かってた。

少し面食らったような斗真のその表情は、あの頃と全然変わっていなかった。




「…用は?」



「あー…、ちょっと歩かない?」




そう言われて、駅までの道を並んで歩き始める。



…こうしてると、中学生の時を思い出す。

たまにこうやって、2人で帰る時間が好きだった。