佐伯先生の優しすぎる嘘




それからの1週間は、文化祭の準備で忙しくて。

そのおかげで佐伯先生のことも、斗真のことも考えずに済んだ。




「「「終わったー!」」」




文化祭前日の午後7時。

夏だとはいえ、外は少しずつ暗くなっていた。




ギリギリでやっとお店の内装や明日の買い出しを終わらせた私たちは、和風に飾られた教室を見回す。


いつも授業を受けている教室とは思えない。

“甘味処”と書かれた暖簾が入り口にかかっていて、時代劇の団子屋さんとかでよく見る赤い布の被せられた椅子と傘が飾られている。




「じゃあ、明日は頑張ろう!」
「「「おー!!」」」




皆で一緒に靴を履き替え、校門に向かう。


…と。





「っ、アイツ…」


眉をひそめた夕羽。

門に寄りかかるのは、1週間ぶりの斗真だった。




「え、誰?あのイケメン」



ザワッとする皆。




「杏奈」



そう呼んだ声は、何だかいつもより元気がない気がした。

…元気があるのかないのかすら、分からないような人だけど、なんとなく…。