「馬鹿」



「っ、え…」




そして立ち上がった佐伯先生は、




「分かるまで考えて」



と言ってくるりと背を向けた。





分かるまで、って…。

迷惑だから怒ってたんじゃないの…?




「あと、そこ暑いから早く帰りな」





怒っていても、こっちを向かなくても、そんな気遣いまでしてくれる佐伯先生はやっぱり優しくて。


だけど私には佐伯先生が怒っている理由はよく分からなかった。



帰り道も、お風呂でも、寝る前も。


ずっと考えても他に思いつかないまま、夏期講習は終わって。



暑くて苦しい、佐伯先生に会えない夏休みが再開した。