「中尾先生には俺から言っといたから」
「えっ…」
やっぱり、佐伯先生何か言われたんだ。
私が余計なことしたせいで佐伯先生が怒られてたらどうしよう。
生徒に手を出した、とか思われてたらどうしよう、違うのに…!
「水島さんが自分のことは後回しに考える性格なのは分かるけど、それで自分が傷付いてたら意味ないだろ」
私と目線が合うように同じようにしゃがんでくれるけど、初めて見る佐伯先生の怒った顔がどうしても見られない。
何で私、こんなことしちゃったんだろう…。
考えるより先に言葉が出てて、何も深く考えてなくて、私が馬鹿なだけで…。
「ごめんなさい…っ」
嗚咽で上手くしゃべれないし、小さな声。
「…俺が何で怒ってるか分かってる?」
不機嫌な声に、きゅっと体が縮こまる。
「っ、佐伯先生に迷惑、かけたから…」
消え入りそうな声でそう言うと、呆れたようにため息をついた佐伯先生。



