佐伯先生の優しすぎる嘘





中尾先生と別れて昇降口を出ると、ふっと緊張が緩んで涙が溢れた。


返しておくわ、と渡されたピンクの封筒をぎゅっと握る。

くしゃり、と小さな音を立てて皺の寄った封筒に、涙がこぼれて滲む。





「っ…」





桃果は見た目が派手だから、正直先生たちの評価はあまり良くない。


この手紙がばれたら、私よりずっと…。

しかも、佐伯先生に迷惑はかけたくない。



だけど、でも…。



自分で勝手にやったくせに、中尾先生の言葉が胸に重く残る。


先生にあんな表情をされたのは初めてで、唇を噛む。



…中尾先生の言ってることが正しいのは分かってる。


教師に恋をするなんて、良いことじゃない。

でも、私だってどうしたら良いか分からないんだもん…。




「うぅー…」




1度溢れると止まらない涙は、次から次へと頬を伝う。



叶わなくても、届かなくても。


“好き”って気持ちは、佐伯先生に1番最初に言いたかった。



…佐伯先生だけが、知ってくれてれば良かったのに…。