佐伯先生の優しすぎる嘘






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「あ!水島さん、ちょっといい?」





夏期講習の最終日。

授業が終わってから昇降口に向かっていると、学年主任の中尾先生に呼び止められた。



「はい…?」




いつもとは違う深刻そうな中尾先生の顔に、何だか嫌な予感がする。







「これ、廊下に落ちてたらしいんだけど、あなたのじゃないわよね?」




そう言って差し出されたのは、薄いピンク色の封筒。


全く見覚えのない封筒を中尾先生から受け取る。




「開けてみて」



そう言われて封筒を開くと、同じ薄ピンクの便箋が1枚。




『佐伯先生へ

先生だけが私の悩みを分かってくれました。


好きです。

先生に、ずっとそばにいてほしいです。


水島』




読み終わって顔を上げると、眉をひそめる中尾先生と目が合う。



「水島って、あなたじゃないわよね?」




…この丸文字には、見覚えがあって。

“水島”って聞いて思い浮かぶのはその人しかいなくて。








桃果…。



…告白、したんだ…。


ドクン、と跳ねた心臓。


頭の中が混乱して、下を向く。