佐伯先生の優しすぎる嘘





「外で何してたんですか?」


「ああ、花壇に水やり」


職員室に来る途中で買ってきたらしいミネラルウォーターのキャップを開けながら、そう言った。



「花壇?」



「ヒマワリの花壇。
裏庭にあるんだけど、知ってる?」


「ヒマワリ…ありましたっけ?」





思い返してみても、この学校でヒマワリが咲いているのは見たことがない気がする。

…あまり裏庭に行くことはないけれど、さすがにヒマワリが咲いていれば目立つはずだ。





「今年の春から生徒会が育ててたんだよ。
だから花が咲くのは今年が初めて」



「へぇ…知らなかったです!
もう咲いてるんですか?」


「昨日あたりからね、見に行く?」



ニッと子供みたいに笑う佐伯先生。



「でも、佐伯先生は今見てきたんじゃ…」


「さっき眼鏡も忘れていったから、もう一度ちゃんと見たいと思ってたし」



気にするな、なんて悪戯っぽく笑うから、一緒に見に行くことにした。



基本的に生徒会が世話をしていたけれど、今日は当番の人が学校に来られないらしく、佐伯先生が水やりに行ったらしい。




「本当、想像してたよりずっと綺麗でびっくりした」



って笑う佐伯先生は、炎天下があまり似合わないな、なんて思いながら歩いた。