佐伯先生の優しすぎる嘘






「文化祭の準備?」




不意に後ろから聞こえた声と、私の手から離れたペットボトル。



「佐伯先生…」



隣には、私が持ちきれなかった6本のペットボトルを持って優しく笑う先生がいた。

そして、その後ろには桃果も。



「お姉ちゃん!」



桃果も文化祭の準備なんだろう。

私を気にせず佐伯先生にひたすら話しかける桃果に、下を向いた。



…冷たい。

冷たいペットボトルが私の手のひらを冷やす。

…先生、6本も持って冷たくないかな?


ちらりと隣を見ると、余裕そうにペットボトルを持つ先生が、桃果と笑っていた。




あーあ、嫌だなぁ…。


自分から近付くことなんかできないくせに、嫉妬だけは一人前で。




桃果は何も悪くないのに…。

桃果の茶色いふわふわの髪が揺れるのを見るたびに、心にモヤモヤが広がってしまう。