しばらく喋っていると外もかなり暗くなってしまったので、夕羽は家に帰った。
佐伯先生は私を選んでくれない。
でも、桃果だったらどうなんだろう。
1人になった部屋のベッドで、少し唇を噛む。
「どうして佐伯先生なの?」
思い切って桃果に聞いてみると、桃果は“秘密”と笑った。
早く…夏期講習が始まればいい。
佐伯先生に、会いたくて仕方ない。
「…よしっ」
むくり、とベッドから起きあがり、棚からマニキュアを探した。
ナチュラルな桜色。
久しぶりに塗ったマニキュアに、自分の手じゃないみたいで嬉しい。
あとはメイクと、ヘアアレンジを練習しよう。
ダイエットもしたいな。
少しでも可愛くなって、佐伯先生に大人っぽくなったなぁって思わせたい。
そんな想像をしただけで、心がふわりと軽くなった。



