「佐伯先生ってさ、彼女いるのかな?」
キラキラした目で言う桃果に、今いるって聞いたことはないけど…と答える。
「そっか!」
ニッと笑った桃果に、夕羽も察したらしい。
「桃果ちゃん、もしかして佐伯先生のこと…?」
「えへへ、格好良いよね」
っ、嫌だ…好きにならないでよ、桃果。
そんなことを言う権利は私にはないけど、でも…。
…桃果の笑顔は可愛くて。
桃果はきっと、私が言えないことも言えてしまうんだろう。
「あ、これから遊びに行ってくるんだった!
行ってきます!」
バタバタと自分の部屋に制服を着替えに行った桃果の背中を見送る。
「…杏奈」
「あ、はは…やっぱりあれだね、姉妹って好きなタイプも似るのかな?」
あの日の、6月の雨の日を思い出してしまったけど、亮くんに告白されて幸せな夕羽に心配はかけたくない。
…と言っても、私の作り笑いなんて夕羽はとっくに気付いてて。
それでも知らないふりをしてくれているんだと思う。
何で…よりによって佐伯先生なの…?



