佐伯先生の優しすぎる嘘




ピンポーン、と鳴ったチャイムに、バタバタと階段を駆け下りる。


「お邪魔しまーす」


私の部屋に入った夕羽は、何だか少し悩んでるみたいな表情だった。




「亮に…告白されたんだけど、どうすればいいかな…?」




俯く夕羽はいつもよりずっと女の子で、少し赤い頬が可愛い。



「もしかしてお祭りの日?」



2人で仲良く話していたのを思い出す。



「うん、それからずっと悩んでたんだけど、分からなくて…」



「亮くんのことはどう思ってるの?」



「友達として好きだけど、恋じゃなくて。

…でも、告白されてから気になってきてる」



こんなに可愛い夕羽の表情、初めて見たような気がする。



「いいと思うよ、亮くん」




あまり喋ったことはないけれど、いつもニコニコ笑っていて、いい人なんだろうなって思ってた。


夕羽には絶対幸せになってほしい。




「…そうだ佐伯先生!良かったね!」



ハッと思い出したように顔を上げた夕羽。

そういえば電話で話して以来、直接夕羽に会ったのは今が初めてだ。



「ありがとう、夕羽」



「いやぁ、聞いてるだけでキュンキュンしたよ!

佐伯先生、杏奈のこと好きなんじゃないの?」


「いやいや、それだけはないよ」



あはは、と笑って返す。

佐伯先生は先生だから。


佐伯先生の恋愛対象に、きっと生徒は入っていない。