佐伯先生の優しすぎる嘘




「はぁ…」



暑い暑い夏の昼下がり。

外ではセミがうるさいくらいに鳴いている。


クーラーの効いた部屋で床にごろんと寝転がって、窓から見える入道雲を見ていた。

…つまり、ぼーっとしていたわけなんだけど。





花火大会が幸せすぎて、あのあと夕羽に興奮しながら電話すると、自分のことのように喜んでくれた。


まだ課題をやる気にもなれない、そんな8月のはじめ。


どこかに遊びに行こうと思ったけれど、あまりの暑さに外に出るのも躊躇う。






夏期講習は来週からだ。

私はかれこれ2週間佐伯先生に会えない。



「長いなぁ…」




佐伯先生、どうしてるだろうか。

夏バテしてないかな。

私はちょっと夏バテ気味だよ。

佐伯先生の顔が見たいです。




「…暑い」



むくりと起き上がって、冷凍庫からチョコレートアイスを取り出した。


一口食べた瞬間、鳴った電話。

夕羽からだ。



「はーい」


『杏奈、今暇でしょ?』


「…うん、まあ」


『話したいことがあるんだけど、今から杏奈の家行っていい?』


「うん、いいよ」


『じゃあ待ってて!』




…というわけで、私は慌ててアイスを食べてから部屋を片付けた。