佐伯先生の優しすぎる嘘




「…やっぱり男子もだけど女子は特に制服じゃないと、雰囲気違って誰だか分からなくなるね」




「あはは、佐伯先生おじさんっぽいですよ」


「…うん、それ、自分でも思った」



自分で言ってヘコむ佐伯先生が可愛い。





…花火、始まらなければいいのに。

始まったとしても、終わらなければいいのに。


もっとずっと、一緒にいたいなぁ。

そう思った時に、佐伯先生と一緒にいられる理由がほしいなぁ。



…ううん、今はこの時間を楽しもう!





「私のことは分かりました?」


少しドキドキしながら聞いてみる。



「ん、わかったよ。
…大人っぽくてちょっとびっくりしたけど」




「そっ、か」




どうしよう、嬉しい。



「似合ってるね、浴衣」




大人の余裕の笑みで。

優しく微笑んだ佐伯先生に、パッと俯いた。

緩む頬が、ばれてしまいそうだから。







ードンッ






そんな音とともに真っ暗な空に広がる鮮やかな光。


空に咲いた花みたいに、キラキラと輝く花火は、ドンッという音で私の胸をつく。




「綺麗…」

「そうだね」





赤、黄色、オレンジ、青。

次々に夜空を彩るそれに、なぜかじわりと涙が滲んだ。