「その時点でもう、椿はミスディレクションに引っかかっているんですよ」




「へー...って、柊は...?どこ?」




「え?って、あれ、本当ですね。

さっきまで人形たちの中心に馬鹿みたいにいたはずですが」




そ、それは言わないであげて。



まあそれは置いといて、本当どこいったんだろう、柊?

見た感じ、いないんだけど...



その時、金属と金属が激しくぶつかり合う音が響く。





「しゅ、柊!?いつの間に!?」




本当に、いつのまにか。


10数体いる人形は、全て倒れていた。



…いや。



フードを被り、剣を握って柊と戦っている人形を除いて。





柊も応戦するようにバチバチと光る電気をまとう長剣を握っていた。




その剣と剣が激しくぶつかった音がずっと響いている。












急いでポイセを覗くと、【19:07】という文字が光る。



遠くからでもその画面が見えたのか、柊はチッと舌打ちを打つ。




だがその隙に剣を大きく振り上げた謎の人形に反応するのが遅れてしまう。




急いでかわしていたけれれど…左腕の白衣に一筋切れ目が走る。





その攻撃ができたのに油断したように見せた人形に柊は一気に襲い掛かり、フードに向かって剣をついた…!




…はらり、と。





フードが脱げた、その人形は…



「違う、あれは…!」




紫に近い神秘的な色の髪。


キレイで大きい目。





「ナミ…!?」





フードつきのコートを、その場で脱ぐナミ。


その下も実際黒の短めのマントを着ていたけれど。




彼女は私たちに向かって、にこりと…美しくも残酷な笑みを浮かべた。