ただ指で音を鳴らしただけなのに…妙にひきつけられてしまう、不思議な音。




なぜか耳で鳴り響き続けるその音を無意識で聞いていると、人形たちの1体がまた手を出した。




そして…その手から急に長い剣が現れる。





「やっぱりな!」




柊はそう叫ぶと、その剣を持っている人形以外に急に手を向ける。



すると次々と人形たちはバチバチと光る電気でできたような鎖に縛られ、一瞬で動きを封じられてしまっていた。






「”ミスディレクション”でしょうね」




「み、みすでぃれくしょん?」




初めて聞いた、そんな横文字。



零は順番に動きを封じられてゆく人形たちを見ながら口を開いた。





「misdirection…

人の注意力を操る、手品では有名なものです。


”誘導”という意味を持つこの言葉ですが、さっきの人形の指で音を鳴らしたのがまさにそうです」






零はその場でパチンッ!と指を鳴らして見せる。



なにかこの指パッチンに秘密が…?



そう思って凝視していると、急にカシャッ!というシャッター音が鳴り響いた。




…え?



零の指の隣を見ると、そこには零のポイセが。




え、何で急に!?てゆうか…






「全っ然気付かなかった…」