柊は、1度目を伏せると静かに大広間の奥の方を見た。




「……おい、今そんな思い出話咲かせてる場合じゃねえみたいだぞ。

見ろ」





釣られるようにしてして私と零もそちらを見る。




「うーわぁ…」




普通の女の子だったら…キャー!って叫ぶような光景だけど、あいにく私は某ゾンビ映画で鍛えられてるからこの反応しかできない。





「奴のステッキさえ奪えば…人形、つまり


”あいつら”の動きを止められるってことだ」




「アレがその人形ですか。

……気持ち悪いですね、動きが」





「ほんっと。

けど見た目はまるっきり人間…」






大広間の奥。つまり、私たちの反対側のずらららーっと並べられているでっかいドアから、湧いて出るように……


………一気に10数人の人たちが現れたのだ。




いや…あれは”人”じゃない。






「Qの手品ショーで、1番最初にやる手品。

それは、人形を自由自在に動かし人々を楽しくさせる余興だ」




…全っ然楽しい気持ちにならない!



だってさ…


奥の扉から出てきてる10数個もの人形たちは、

人間の笑みとは思えないような不気味な笑みを浮かべていて。



老若男女問わず、そんな笑みを浮かべながら


手をぐるぐる振り回したり、膝をまげずに歩いてたり。


まるで下手な操り人形ショーを見ているようで。





「…油断するな。


人形といえど、



あいつらもマジックが得意なんだ」