「手品師(マジシャン)…”Q"。


顔も名前もきっと全て偽物だったろうけど、俺はあいつとの戦いにすっげえ手こずった」




その時のことを鮮明に思い出そうとしているのか、目を閉じて柊は言う。




「”Q"は、人形を操ってたんだ」




「人形を…?」




「大体の職持ちは、学生決闘で色々な戦法を使えるよう、特殊な効果を持つアイテムを持ってる。俺の場合は、コレ」



空中から黒いタブレットを取り出して、私たちに見せる。



確かに、入学式で見た動画でも…タブレットで戦ってたな。



すっごい速さで色々打ち込んでたっけ。





「では、”Q"の場合、人形がアイテムなんですか?」



「いや…あいつのアイテムは、ステッキだ」






ステッキ…?

じゃあなんで人形を操れるんだろう。



そんな私の意図を読んだのか、柊は少し頷いた。




「ステッキで触れた物を、数に限りはあるが自由に動かせるという特殊な能力を持ってたんだよ、あいつは」





「ってことは、それで人形に触れると…」





「10体ぐらいの人間と全く見分けがつかない人形が、俺に襲ってきたんだ」





”Q"も入れて、11対1。



自由に動かせるってことは…多分、戦闘をさせることもできるってことだよね。




「柊は…何で勝てたのさ?」




「俺は、たまたま見つけたからな」