やはりこの世界を公表しよう、と。



沙羅の護ったこの世界を…壊すのは気が引ける。




けれど。



この世界にいると…自分を責め続けてしまう。




もう、この世界にいることが苦しくなっていた。




ならいっそ…壊してしまおうと。



そう思った。



私が半世界を公表する理由は、人間界の王になりたいからではない。




ただ…




最後に、2人で交わした…ここで話した会話を思い出すたび、苦しくなる。










「…沙羅。君の望んだ世界など存在するはずない。

この半世界に来れることのできる素質を持つ者はまだたくさんいる。

その者たちにこの文明を教える…別になんてこともないだろう」




「か、は…っ、それは!このっ、世界の秩序を壊すことになるじゃないの…!」



「秩序?この文明を隠し続けることが?

文明によって栄えたこの世界を…人間界の奴らに教えるこそが秩序じゃないか」




「あなたは…利益だけしか考えていない!自分のことしか!」




「…黙れ、沙羅…

…もうその傷じゃあお前は無理だろう。お前の仲間たちの命も儚く散った」




「…バカね」




「…なんだと?」






…彼女はそう言って涙を流し、窓ガラスの破片を手にした。





「…誰が儚く美しく散るのよ。

…私は…沙羅は、最期まで…」