【気をつけて、椿ちゃん。

王家の2人…つまり、王と王子は相当な手練れだと聞いているから。


自分の命を投げ出すような行為はしないで】





ごめんね、シロさん。



約束できるか…わかんないよ。






菊の攻撃をかわしながら、ついさっき来たシロさんのメールを思い出す。



…さっきから、私と菊の攻防はシンプルなものだった。



お互い能力も使わないで、ただ基礎戦闘を繰り返す。



けど…菊は、"基礎"なんてレベルじゃない!




「くっ…!」



菊の鋭い拳が、両手をクロスさせたところに当たる。



そのまま後ろへ吹っ飛んだけど、1回転して着地した後、バックステップでなんとか。





そしてそこから地を蹴り前に進み、私の右足が菊のほおに向かう…!



けどそれをするりとかわした菊は、余裕たっぷりで後ろへ下がる。




…なんでみんなが菊に手を出さないのか。それは簡単。





みんなが…まだ、魔物と戦ってるせい。



しかも、今回の魔物はさっきまでのチョロい動物あがりなんかじゃなくって、


半世界の民が恐れる魔物…



凶暴で凶悪、人を攻撃することだけを考えるような…