零の、過去…



病院での話の、時…





「椿に僕は言いました。

人を信じられぬ僕が嫌のならば、離れていって構わない、と」




零のその言葉は、忘れてなんかない。


悲しそうな顔で…でも、私を心から気を使うような顔でいっていた。





「その時の僕は、悪いですけれどもう賭けをしている気分でした。

また1人になるのかと…怯えていたのにあんな問いをしたのです」




やっぱり零は…私と一緒で、1人が好きなようで実は嫌い、なタイプの人なんだ。



私もそう。



零と同じ。




「けどそのあとかけてくれた数々の椿の言葉を聞いてたら、そんな自分が恥ずかしくなりました。

そして、僕は決めたのです。

この変人の人生をそばで見てみようかと」





「…変人って失礼な」




「まあ、真実でしょう?」




それをいいえ、と力強く言えないのが悲しい。



みんなに変人変人言われて慣れてしまったし。




…嫌な慣れ。





「だから、椿。心配しないでいいですよ」




零の言葉に…いつの間にか下に行っていた目線が、上がる。



そこには、優しく微笑む零がいた。



わら、って…