学園世界のイロジカル

「ねえ、椿。ちょっといい?」




沙羅に呼ばれたのは、春も終わり、夏真っ盛りの時。



珍しく早く帰ってきた沙羅は、笑顔を浮かべているけれど明らかに元気がない。




それに最近…ところどころアザや血が少し出る傷もかなりあること、私は知っている。



沙羅は隠しているつもりらしいけどね。



不安な気持ちを胸の奥に押し込んで、「いいよ、なに?」と私も笑顔で答えた。





「椿。明日、私は部屋にいるわ」



「え、仕事は?」



「仕事の一環よ。

そして…きっと途中で、すっごい大きな物音がすると思う」




ガタガタ!…ってね。


そう言った沙羅の顔は、冗談を言って少し笑ったっぽいけど、全く元気がなかった。




「けどね。

絶対、開けちゃダメよ。物音は多分、少しの間だけだし。

それに、物音が終わってもしばらくは開けちゃダメ。

開けるのは…次の日になっても私が出てこなかったらにするのよ」




…うなずくことしか、できなかった。




そんな私を見て彼女は元気を少し取り戻したように、小さく小さく微笑んだ。






…そして、次の日。



その時はやって来た。