学園世界のイロジカル

「…辛かったでしょう」




気付けば、私は女の人の腕の中にいた。




…え?



すぐにふりほどこうと思っても、ぎゅっとだかれてるせいで全く動けない。



ちょっと、やめて。


私にはそんなもの、通用しない…




「…辛かったでしょう?」



さっきと同じ言葉をつぶやく女の目は…寂しげだった。



私はその問いに、小さく首を横に振って答えた。




「…そう」




ただの強がりと思われたのならそれで良い。


早くこの女が私を解放してくれたら良い、そう思った。




「素直になれとは言わないわ、椿」




なぜか私の名前を知っている女に、恐怖感を抱いた。



逃げなきゃ。


なんとか生き延びれたんだ。



死ぬ方が楽だと思ったけれど、いざすぐそこに死より恐ろしいものが迫ると、そんなことを思った。




私は、売られるんだ。


だからいつの間にか綺麗なワンピースも着ているし、身体の汚れも落ちているんだ。



逃げなきゃ、逃げなきゃ…