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キラキラ輝くネオンに背を向け、ただふらりふらりと歩いていく。



着ている服はボロボロで、ベージュの大きめのヨレヨレコートを羽織って隠していたけど、そのコートももうボロボロ。



けど着ないよりはマシ。



人が朝から夜まで1日中歩き回る大都会では、できるだけ身なりを良くした方がいいだろうから。





「…ねえ、あの子…」



「知らないのかい、キミ。

もう少し奥に行ったところに路地裏があるだろ?

そこはこうゆう家がないやつらが生活しているところなのさ」



「じゃあ、助けなくていいの?」



「ああ。あの子を助けるのは、警察に任せよう」



流暢な英語でされる会話に耳をすましながら、美男美女カップルの横を通り過ぎる。



そう、私は1人ぼっち。


産まれた時から、1人ぼっち。



物心ついた時には、孤児院にいた。


わずか3歳の時に孤児院は潰れ、私は余儀無くこのスラムのようなところで生活をしていた。



…といっても、少し出たらNY。


大都会だけれど。