_あの日見た彼女の涙を

忘れることは、この先きっとないだろう_









「…沙羅。君の望んだ世界など存在するはずない。

この半世界に来れることのできる素質を持つ者はまだたくさんいる。

その者たちにこの文明を教える…別になんてこともないだろう」





「か、は…っ、それは!このっ、世界の秩序を壊すことになるじゃないの…!」




「秩序?この文明を隠し続けることが?

文明によって栄えたこの世界を…人間界の奴らに教えるこそが秩序じゃないか」




「あなたは…利益だけしか考えていない!自分のことしか!」




「…黙れ、沙羅…

…もうその傷じゃあお前は無理だろう。お前の仲間たちの命も儚く散った」




「…バカね」




「…なんだと?」





彼女は美しい顔に一筋、涙を流して



笑った。






「…誰が儚く美しく散るのよ。

…私は…沙羅は、最期まで…」











…誰も知らない、私だけが知っている、


彼女の、涙。