「…父親の言うとおりになってしまいました。

俺は椿が逃げると思っていましたが」




「半世界の王なんて肩書き、今は俺らにはどうでもいい」




柊の言葉に、私も強くうなずく。



…もしかしたら、今の王が…沙羅を…



…ぎゅっと握りこぶしに力を込める。




「俺たちは生憎、この世界に助けられた身なんでね」



「今度は私たちが半世界を助けなきゃね」



龍矢も、ナミも…



「僕だって人間界に行きたかったですよ。後悔もとてもしました。

ですけどね…


今は楽しくして仕方が無いものですから、僕のせっかく得たこの生活を奪わないでいただけますか」




零も…!


零は私と同じで、この半世界に来たことを後悔していた、なのに…



…考えは同じだなんて。




私は菊に向かって、はんっと鼻で笑ってみせる。



甘っちょろいの!…こっちだって負けてなんからんない。




「菊の父親のセオリー通り、私たちは悲劇を起こしてあげる。


けど!



…この勝負、最後に喜劇になったもん勝ちよ」




「…望むところです」