「ナミ、ナミ……!」



柊の元に私も駆け寄る。


はあはあと肩で息をするナミのほおに、手を当てる。




「ナミ、自分に回復魔法って使えるの!?」




「…つ、ばき…たぶん、使え、る…」




「じゃあすぐに…!」



「待て。無駄に体力を使う、そしたら。

これを飲め」



柊の白衣のポケットから出てきたのは…緑色の液体が入った、小瓶?



この色って、回復魔法の時の色に似てる…




「魔法使いに作らせた、即効性の回復薬だ。

飲め」




柊は小瓶のフタを取って、ナミに手渡す…ところで、カラン、と小瓶が落ちた。



「…これ、衝撃を加えると効果が薄まるんだよ、魔法を扱わないやつが触るときは気をつけなきゃいけねえらしい」



もったいない、なんと柊はその小瓶を力いっぱい後ろに投げつけた。


…もったいない!なんで!



「いやー、まあもう効果が薄まったんならいいだろ」



「良くないでしょ!…もう、早くナミに別のやつ!」



「わーったよ…」



柊は今度こそ、ナミに小瓶をやった。


小瓶を震える手で受け取ったナミは、そっと口につけ…一気に飲んだ。




「はあ!…はあ、あ、ありがと、柊…」




にこっと笑ったナミを見て、私と零も安堵の息をこぼす。



よかったナミ、無事で…




「俺を無視しないでください」



「っ菊!あんた、龍矢を殺してないよね!?」



「知りませんよ…まあ、自分で確かめたらどうです?

ま…行かせませんけどね」




カッカッカッ…靴の音が、聞こえる。



1人や2人じゃない…10人、いやもっと…!