「ナミを…離して、菊」




気付けば出ていた私の言葉に、菊は首を少し傾げた。



その笑みに負けるかと、思いっきり彼を睨む。




「離して…っていうか、王子の菊がなんでナミをさらうの。

ナミの可愛さに目でもくらんだ!?」




もう、1度出たなら言葉は止まらない!


王家に失礼!?知ったことか!


今までうじうじして言葉を発せなかった自分が恥ずかしくなってきた!




「んー…確かに麗しいとは思いますけれど。

俺はこんなに弱い女に興味はありません」




「弱い!?ナミが弱いならそれより強い女がどこにいるの!!」



私の言葉を遮るように…菊はナミを一旦下へ下ろし、手を前に出した。



…3本の指を、たててる…




「俺が知ってる中で、ナミさんより強い女は3人いますよ」




今度は1本の指をたてる。



「1人目。


俺の後ろに今もなお隠れている、王家御用達のとある女性です。

俺の1つ上ですけどね」





後ろの方でゆらり、と影が揺れたように見えた。



…あそこに…



けど今は動いちゃダメ。


あと2人を、聞き出さなきゃ…!




「2人目。椿、君です」



「……わ、私!?」




「こいつがお前より強え、ってどうゆうことだよ!?」



柊の言う通り!


私もまだ、このスティールの力を使いこなせてない部分もあるし…!