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「なに、ここ……」



「…くそ、龍矢とナミが危ない…探せ!」



「了解です!」





菊に誘われるように入った巨大な練習室の中は



…まるで、戦争のようだった。




真っ暗闇だから、よく分からないところはあるけど…音からして、分かる。



ドタバタと走っている何十人もの足音、


そこらじゅうで聞こえる矢をつがえる音。



声もあちらこちらから聞こえてる。




「…おい椿!これ付けろ!

あと話し声はでかくても大丈夫だ、周りがうるさい」



渡されたのは…スキー用のゴーグル、みたいな…


急いでそれをつけると…暗闇の中なのに、柊の姿や零の姿がはっきり分かる!



「暗視スコープだ。

それを付けていればまあ、大丈夫だろう。

急いで2人を探して救出するぞ!」




大きくうなずきはしたものの…


龍矢は忍者。


忍者の龍矢を、そう簡単に見つけられるわけない…




「…ため息ついてどうする。

行くぞ、俺は2人を助けたいからな!」



「わ、私だって行くに決まってるでしょ!」



「どっちだよ!」



「なにが"どっち"なの!行くに決まってるじゃん!」




「2人とも、静かにしてください」




「「零はちょっと黙ってて!!」」



私たちの様子に、ふかーいため息をつく零。


あーあ、なんて顔して。



…な、なによ。



「…僕知りませんからね。

周りが静かになったことに気付かない2人がいけないんですからね」