やっと伸びた腕で、俺はそっとナミを…いや、



"天草"を抱きしめた。





「…君は、なんで泣いているの」




「……ぅ、あっ…ぁ……」




「…君の名前は、なに」




「…わ、たし、は…天草、奈巳…」




「泣かないで。君が泣いて苦しむ人は、まだいるのだから」




「ぅぁ、ひぐっ…あ……」




「大丈夫。きっと君の涙を見て苦しむ人が、

自分自身の命が最期の刻を数え終わるその最期の最後まで、


君を、苦しいことからも、悲しいことからも、

辛いことからも、痛いことからも

全て護ってくれると誓うと言っているから」





「あ…りゅ、や……」




俺は天草に、ふっと笑いかけた。





「初めまして。

俺は服部龍矢。


よろしく」