学園世界のイロジカル

「龍矢は、強いね……」



退院して、初めて会ったナミにそう言われた時に言った



「強くない」



の言葉が、震えてなんかもなくて、躊躇も戸惑いも何にもない声で言ったから、様子からその言葉の意味とまるで反対だ。





「強いよ。

私なんか…涙が、止まらなくて…」



会った場所は、孤児院の与えられた1室だった。


ナミは配慮されて、しばらくは1人部屋らしく、俺ら以外に誰もいなかった。



ただナミは、ぽたぽたと涙をこぼす。




「結局私の"奈巳"ってなんだったのかなって…

龍蛇神様ってなんなのかなって…

私の存在する意味ってなんなのかなって…

みんなはどんな思いで亡くなっていったのかなって…


考えたら、涙が止まらないの……」




俺だって考えたら泣きたい思いになる。


けど、泣けなかった。


ナミはそんな俺を、どう思ったのか知らない。冷たい人だと思ったのかもしれないし、薄情な奴と思ったかもしれない。


けど、彼女の涙に濡れた瞳に見つめられた時に…


あ、バレてるなって思った。



俺が本当は泣きたいのを堪えてるって、バレてしまったと思った。



「…龍矢は、やっぱり強いね…」



ナミの綺麗な手が、俺のほおに触れた。

涙に濡れた手に、そっと俺は自分の手を重ねた。



「…強いね……」



「…強くない」



「…そうなのかな…」