小さい頃に村長であるおババ様に言われた時は意味の分からなかった言葉も、さすがに中1となりゃあ意味が分かる。



俺たちはつまらない迷信に付き合わされてるだけって話。



龍蛇神(りゅうだじん)。



その神様は決して有名じゃないわけじゃない。


むしろ結構有名な方だ。


俺だって別にその神様を批判するわけじゃない。ただ、




この村はその龍蛇神様に頼りすぎだと思うんだ。




「龍矢!早く稽古に行きなよ!」



「ナミ……」



「嫌そうな顔しないの!

早く行くよ!」



龍蛇神の使いの子が産まれた時専用に遥か昔に作られた屋敷には、2つの家が住んでいる。



俺、服部龍矢の家と。


俺の腕を引っ張る彼女…天草奈巳の家。



まあ母さんも父さんも俺にはいない。



俺を産む前に父さんは流行病で死んだし、母さんは俺を産んですぐに死んだ。



村の人は母さんがすぐに死んだことを、まるでそれこそ神様のように賞賛してるけど…


とうの俺は孤独の身となったわけだ。



…でも50年に一度の大三日月の日に産まれたおかげで、


天草家と一緒にこの屋敷に暮らせることになった。



ま、そこは大三日月様、感謝してますよ。




「はー、暑い。

なんで俺着物着なきゃいけないの…街の人たちは洋服だっっていうのに」



「それがこの村なんだからしょうがないでしょー」