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ただ、走る。


体はもう、傷だらけで、血だらけ。


したたる汗と血を一緒に拭いながら、また俺は走り出す。





「もうやめて!お願い…やめて!!」





彼女のそんな泣き叫ぶ声を聞いたのは、何年ぶりだろうか。




安心して。


言ったじゃん、あの日に。





「俺の命が最期の時を数え終わるまで、

俺はお前を……全てから護るから」




俺のつぶやきなんて、絶対聞こえないだろうに。




「お願い、やめて龍矢…もう、龍矢の体が……!」





どこかで泣き叫ぶ彼女の声。



俺に降り注ぐ矢の雨。



さすが半世界最大の練習室…ただならないな。



…まるで、戦争だよ。




しかも、負け戦?



…いいや、俺にはまだ使命がある。




彼女を護るんだ。





「俺は、彼女だけでも護ると決めた。

あの日、あの場所から…



"龍"の名にかけて」






俺はただ、体を動かし…無心に敵を1人1人倒していく。



無心、っていうのは嘘かもしれない。



だって…


昔のことを、思い出しているのだから……