暗い暗い闇の中




紺色のロングコートを羽織った烏は、その闇へと消えていった……










「………起きて、2人とも」




路上に倒れている2人の体を交互に何度も揺らす。



と言っても、私も今起きたばっかりなんだけどね。




…寒い。




そりゃそうだ、まだ初夏にもなってないぐらいの夜中の外だよ…?




パーカーをぎゅっと抑える。




……龍矢のことは1回忘れて、今は2人を早く起こそう。





「………ん……」



「零…!」



「…?さ、む……

…椿?ここって……」



「分からないけど、龍矢と会う前のところで倒れてたっぽい」




すぐにその隣でもん〜、という声が。


柊もうっすらと目を開け、起き上がる。




「…龍矢……は、いねえか…」



柊はすぐに現状を察したらしい。


ちょっと寂しそうな顔をしながら、両腕をおさえた。



「…にしてもさみいと思ったら、今深夜の2時だってよ。

何時間寝てたんだよ俺ら…ま、ここ人通り少ねえしなぁ」




立ち上がって、お互いの家を目指す。



ここからは私と零の家の方が近い。そのまま進めば柊の家の方にも行ける。



なんだか雰囲気的に、私たちを送ろうとしているみたい。



「…風邪になったらあれだしな、1回寝よう…

明日っつーか、今日はゆっくり休め。

明日また今後について考えるぞ」




柊のその言葉から、私たちの間に大した会話はなかった。


なにか会話を始めたかったけど…


……そんな笑いあえる雰囲気じゃない。