「俺はただ、この学園に逃げてきたんだ。


父がもつ鎖から。



自由に生きていけば、きっとあいつに会えるって、そう信じていたんだよ」






最後の最後に見ることができなかった、



あいつの笑顔が。




また、見れる日が来るんじゃないか、と……






「…あれ、おかしいな」



「……目にゴミでも入った?」



「…ああ」





目から出てくる涙を拭う。



あいつの笑顔がちらついて、もうダメだ。




俺は結局、助けてもらってばかりで誰1人助けることなどできない。






「……俺はただ、逃げてるだけなんだよ………」





「…そっか……」





コーヒーの匂いが鼻につく。



涙をぬぐってる時に、アイスボックスクッキーを口にした。




……このクッキーは好きで、嫌いだ。







あいつの笑顔が、浮かぶから、







大好きだけど、大嫌いだ。