学園世界のイロジカル

どこか相手を笑ってる気がする…な、なんか黒い雰囲気出てる……



……あ、なるほどね。


もう零は"使って"いるんだ、きっと。



「僕はあなたに勝てる気もそんなにしません。

勝率は計算してわずか10%にも満ちません」



「……へえ」



「……けど、

足掻きぐらいさせてくださいね?」




その言葉が言い終わるか言い終わらないか、ぐらいに…


零が、揺れた。




「やっぱり使ってたんだ」



「あれ、僕はまだ分かんないなー、零君の能力ー…」




さすがにシロさんでもまだ零の能力は分からないみたい。



まあ、対戦相手の男の先輩もギョッとしてるし、明らかに。




けどそんなの知らず…零の影は、揺れる。


そして…いつの間にか零は、腕なんか包帯に巻きつかれてなかった。




「なっ!?」


「……これが僕の能力です。


自分の姿の幻を見せることができる能力。


ま、こじつけに過ぎないかもしれませんが…数学者の先生は


『数字ははっきりしているようで実は幻。数学者(キミ)にはピッタリじゃないか』


と」




「くっ……!!」



先輩の手に再び包帯が戻り、すぐにまたすごい速さで出ていく。


零はそれを避けるけど、足に包帯が絡みついて…



……というのも幻だったらしく、すぐに零は元のなににも縛られてない姿になる。




「もしかして零、これいけるんじゃ……!」



「……いや、僕はダメだと思うよー」



シロさんがちょっと声のトーンを下げてつぶやく。


まるでこの戦いの先を、もう知ってるみたいに…




「あ!」


「……やっぱり、ね」




男の先輩は今度、右手も左手もどっちの手からも包帯が一気に出てくる。



そして1つは零の右腕に、もう1つは左足に絡みつく。



けど……零は元には戻らなかった。




「…さすが先輩、ですね」


「いいや、俺も気付かなかったら負けてたと思う。

楽しかったぜ、生き残り」




そのまま"戦闘不能"状態になった零に…敗北の声が降り注いだ。




「もうどう足掻いても勝てる見込みがない時は自動的に敗者となるんだよねー。

あの男子のお得意だよ」



「……零の技が見抜かれてたんだ、あの一瞬で」



「伊達に6年間学生決闘やってないってことだよー」