無感情のあの機械音声が森…決闘場に響き渡った。




私……勝った?



実感が湧かないまま、ようやく立ち上がって男の子を見ると…悔しそうな、けど清々しそうな…そんな表情を浮かべていた。




「まさかやられるとは思わなかったわ」




そう言ってお互い傷だらけのまま握手をする。




彼の手は、とても暖かかった。




笑い合ったその時……どこからともなく歓声が聞こえる。




そうか、観客席が見えるようになったんだ……!





急いで周りを見渡すけど…もちろん森なのは変わらなくって、見えなかった。





「……じゃあな」



「うん…ありがとう」





そう言ったあとは背を向けあって、互いの出口に向かって足を引きずるようにしながら出ていくだけ。




それだけ、だったのに…





ゴーーン

ゴーーン

ゴーーン





「…なに、この音……?」




思わずつぶやいた私の声が聞こえたらしく。



男の子は振り向き、「ああ、もうそんな時間か…」と少し笑いながら言う。




"そんな時間"って…なに?



今からなんかイベント始まるの?学生決闘中なのに?





「ああ…一大イベントが、やっと始まるな」



「焦らさないで教えてよ……結構気になるから!」




私がそう言うと、男の子はニヤリと笑って言った。





「この鐘の音は…開始の合図だよ」




「いや、学生決闘はもう昨日から始まっちゃってるじゃん…」





違う、と首を振った男の子は「これからお前は大変だよ」と私に笑いかけながら、なんか苦笑いみたいな感じで言う。





「な、なんで?」




「そりゃ決まってるじゃん。



……半世界五傑席が、やっと今から試合を開始するからだ」





鐘の音は今も響いていた。



なぜか、会場中に響き渡る歓声が……鐘の音と同じような意味を持っているんじゃないか、そんな気がする…