手が、この男の子のハサミぐらいの高い攻撃力を持つようになったってこと?




自分でも分かんないんだもん、彼だって意味分かんないと思う。




何回も私にハサミを振りかざすけど…当たってもはっきり言っちゃって全然痛くない。




その代わり、避けようと手を伸ばした私に体が触れ、逆にどんどん追い詰められているのは彼だと思う。




「くっそ……!!」




取り乱した彼はハサミを2つ、ジャキッという音をたてて構えた。



なに、あれ……




ハサミに…液体みたいなのがいつの間に……?





「これは景品で昔もらった、攻撃力増加の薬!


これで……!!!」




大きく飛躍した彼につられ、私も高く飛び上がる。



彼のハサミが私に一直線に向かってくる……!





これで、終わらせる!!!





「はあああああああああ!!!」





私の手が彼の体に触れるのと、ついさっきまでより明らかに攻撃力が高くなったハサミが私に触れるのと、




どちらが早かったのか。





2人同時に着地して、2人同時に倒れ込んだ。






ブブ、と戦いを終わらせる振動が私の体に響いた。




それを見る気力もなにもないのは、私だけじゃなくあちらも同じらしい。




それでも残りわずかな体力を振り絞って、手をポケットに取り付けてあるポイセに伸ばそうとした瞬間……




『勝者






二階堂椿』