「……あーもう!

じゃ、シロさん!お願いします!


私の超能力探し、手伝ってください!!」




もう半分、というかほとんど意地だっつーの!



けど……龍矢がいちいちここまで私を連れてきた時点で、この人に世話になることはきっと決まってたこと。



それに、この人がいた方が私の超能力がすぐに分かるのに違いはないし…





「良かった!これで僕も君を影で監視させないで済むよ!

いやー、これまでバレないよう大変だったからなー。

公然的に椿ちゃんのことを調べられるんだから嬉しいよ!」




じゃ、僕そろそろ仕事だからー、と言ったシロさんは、



黒いロングコートをちょっと整えてから立ち上がって、ニコニコしながら部屋をすぐに出て行ってしまった。




……な、なんか一気に疲れちゃったんですケド。



はあ、とため息をついた私を、龍矢が笑って見ていた。





「多分……

一部の人に椿が超能力使いなんじゃないかっていうのがバレかけていたのもあの人の作戦だよ」



なんか、なんとなく分かった気がする。



龍矢と同じ、いやもしかしたらそれ以上の"策士"な気がするもん、あの人…





「多分僕たちがバレてるんじゃないかって焦り始めるところでわざとつけさせていた管理委員会の部下を僕たちに見えるようなところに行かせたんだ。

そうすればシロさんの趣味を詳しく知っている僕が勘付いて、ここに来ると思ったんだろうね」





「それにまんまと私たちははまっちゃったのかー…別に良いけどさぁ…」





部屋を出て、なぜか道を慣れている感じで進む龍矢と並びながらそんなことを話す。




「…っていうか、シロさんの趣味って?」




「………あの人は1回興味を持つと徹底的に調べたい人なんだよね。

だからもう止められないよ、だれも」




へぇー…なんか、納得できるようなできないような…



時間を確認すると…いつの間にか結構時間が経っていて、もうあと1時間もしないで零の決闘になる時間だった。




そしてその1時間後には私の決闘も…




「……よっし、燃えてきたー!」




管理委員会の人たちが行きかう中叫んじゃったもんだから、周りの人にギョッとした目で見られた気がしないでもないけど…気にしない!




「さっきまで散々悩んでいたのが嘘みたいだ、椿」



「え?…ああ……ね。私もびっくり」




人を無意味に傷つけるのに抵抗があったもん。


けど、学生決闘はそれだけじゃなく、いやそれ以上に"楽しい"ものなんだ。





「だから、もうビクビクしないよ私は!

できる限りの力を出してみせます!」





「………もしかして似ているかもね、椿とあの人」





龍矢のつぶやき声も、よく聞こえなかったけど。



決意新たに、大きな歩幅で私は闘技場へ向かった。