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「…さっきはなぜ急にまるで発作のように体が?」




「多分、零さんが受けた攻撃があまりにも大きく、

それに抵抗しようとして体が…という感じでしょうね」




「攻撃の特徴は」




「まあ、職持ちの能力であることは絶対ですね。常人はできないような攻撃ですから。

それと…頭に少しの切り傷ができてたんですが、その切り傷からまるで睡眠薬や麻酔のように、体を一時的に動けなくするようなものが入ったかと思われますね」




柊がありがとう、と言うと人の良さそうなまだ30ぐらいであろう医者の男性はいえ、と言って出ていった。




零の急な体の異常もおさまり、今は薬で数時間眠っている最中だという。



そして目が覚めれば、もう何も心配はないとのこと。





その言葉に安堵しつつも…そのあと、どう零と接すればいいのか考えると気が重かった。



医者と別れ、柊が私の隣に椅子を持ってきて座った。




「…俺が零の過去を途中から話した理由、気にならねえのか」




「気になるけど…なんとなく分かった気がするんだよね」




「言ってみろ」




「…零は柊が自分の過去について詳しく知っていることが分かっていた。

そして…私にマルコ先生の時からの話をする時発作みたいなのが起こって、たまたま居合わせた柊にその先を伝えるように頼んだ。

多分零は…自分でその先を話したくなかったから。違う?」



柊は零を見ながら少し息を吐く。


手で無造作に綺麗な茶色の髪を巻き込みながらかくと「だいたい正解」と言った。




「あれはたまたまなんかじゃない。

ポイセにメッセージが来てたんだよ、その前に」




ポイセを操作すると、柊はある画面に行き着いた。




【自分で話すことは、無理ですね】




そう書いてあったメッセージ…これ、結構前…?




「俺が前に一度、事件について聞いたことがあったんだ、零に。

そこで少し話した後、こう聞いた」




【椿に、みんなにはそのこと話すのか】





「そう送ったら、この返信だ」